1. 鋼製小物類にはそれぞれ特性に応じた用途があり、適正な使用が求められます。
(例: 先端の細いはさみで固く大きい対象物や適していない対象を切る等)
2. 落下・過度な衝撃など、取り扱いにも注意が必要です。
刃こぼれ.例 落下による破損.例
落下による破損.例
3.決して錆びない鋼ではありません。
ステンレス鋼はその特徴として、一般的にサビにくい鋼材であるため多くの製品に使用されていますが、ご使用前後の処理により『変色・サビ・腐食』が発生する可能性があります。
また万が一、『サビ・腐食』が発生してしまった場合、その部分から孔食が進行し予期せぬ『破損』の原因となってしまう場合があります。
刃面のサビ.例 サビ・腐敗
サビの要因となる塩化物を含むもの
4. 鋼製小物は商品毎に共通の型で成型され、職人の手による削合・研磨の工程を経て製造されます。
また商品によっては2つの部材を組み合わせ構成されているため、同じ商品同士を比べた時に多少の個体差*を有する場合があります。手指の感覚、開き具合などが全く同じではない場合がありますが、不具合品/不適合品ではございません。(新品の場合)
*多少の個体差:検査結果で多少のバラつきがあっても商品の合格基準を満たしていれば良品となります。
5. 洗浄・滅菌を繰り返すことにより、商品の可動部の動きが「悪い・固い」といった感覚を持つ場合があります。
これは、洗浄等の工程の中で不純物として必要な油分まで除去されてしまい金属面同士の摩擦が生じるためです。また、摩擦により傷ついた金属部から腐食が進行し、サビが生じるリスクにも繋がります。金属同士の摩擦を防ぐためには、器具の洗浄・消毒後にメンテナンス用オイル(当社掲載品 8-5971-01)の注油を行ってください。
8-5971-01 メンテナンスオイル (医療用ニッパー類専用) 標準価格 3,000円(税抜)
使用後
①. 器具に血液、体液をはじめとする汚れがないか確認。
乾燥しないうちに速やかに洗浄を行う。(すぐに洗浄できない場合は予備洗浄**)
汚染除去には適正な医療用洗剤(中性を推奨)を用い、金属たわし、クレンザー等は表面に擦過傷を生じやすくなるため使用しないこと。
予備洗浄**
・流水洗浄
・タンパク凝固防止剤を噴霧
(タンパク凝固防止剤他、薬液等を使用する際は、各製品の使用方法に従って下さい)
②-A. 用手洗浄
洗浄剤に浸漬+ブラッシングを行う。
②-B. 機械式洗浄 (ウォーターディスインフェクター、超音波洗浄装置 など)
器具の可動部を開放し、汚れが落ちやすいよう収納し処理すること。
装置内で器具同士が接触しないように注意すること。
③. それぞれの鋼製小物を確認し、必要に応じて【注油】を行う。
詳細は≪予防CHECKⅢ.≫ 5.をご参照ください。
④. しっかりと乾燥させる。 擦過傷を防ぐため、糸屑の出ないやわらかい布などでこすらず除去してください。
⑤. 滅菌
高圧蒸気滅菌(プレバキューム式)推奨
滅菌推奨条件: 134℃ 5分
※オートクレーブ滅菌に使用する水は蒸留水を推奨します。
水道水の使用も可能ですが、カルキやミネラル成分の残留により付着物・沈殿物が残る可能性があり、熱ヤケが発生してしまう場合もあります。
ご購入直後の商品の使用前のお手入れ
上記の洗浄と同様の処置が必要となります。(洗浄力の高いアルカリ性防錆洗浄液を推奨)
製造工程内で防錆剤や潤滑剤が塗布されている場合が多く、不十分な洗浄でオートクレーブをかけることにより、汚れが浮き出し焼きつく恐れがあります。
特に鉗子・はさみ等の可動部を有する器具は、洗浄・消毒後にメンテナンス用オイルを注油し、オートクレーブ滅菌を行ってください。
■ポイント
・消毒後の器具は精製水や蒸留水で薬剤が残らないようにしっかりとすすぎ洗いを行い、水気が残らないように拭きあげてください。
溜めた水ではなく、流水下でのすすぎを推奨します。
器具に水分が残ったまま放置しているとサビ・シミ・ヤケの原因になってしまいます。
・器具の保管に関して、サビのある器具や異なる金属の器具、化学薬品と一緒に保管しないでください。
サビのない商品にもサビが発生してしまう恐れがあります。